それは昨晩から既に始まってたのかもしれん。いきなり「見て!お父さん!月!」やった。
わずか三つの単語の先に満月がぽかり浮かんでた。「よし、あしたは「春はあけぼの」や」
暗いうちにもそもそ起きだし「そもそも何してるんや?」とひとりごちながらハンドルを握る。
西の空には昨晩は東に居た月が、東の空には「かぎろひ」が、24時間営業の24号線を
上る。「朝のマジックアワーやなあ」と濃紺と群青と紫と薄青を楽しんだ。後、Uターンして
三年坂にさしかかると「お堀にお城に満月」やったんで思わず停車して見とれてしまった。
久しぶりに最寄りの喫茶「MOCA」に入る。小中学同級生の嫁ぎ先でもある。店内の石垣
のような階段を上がると、新聞・雑誌の棚の向こうからごっついおっさんが出てきて注文を
とる。「ホットモーニングを」と告げ窓際のお城を望む絶好の好位置をキープしたのやった。
静かやけど数名の客が語らいクラシック音楽が流れる店内で久しぶりに「もじけちゃある」
という方言を聞いた、「壊れている」という意味や。何かが壊れたか壊れつつある状態なの
だろうが、老夫婦の手元には週刊文春があった。「もうもじけてもた」「もじけたんちゃうん」
ふと「母国語と母語はどう違うんや?」と考えた。こどもらは「もじけちゃある」とは言わない
と思う、彼らの母語は和歌山弁ではないからや。「おっかし」和歌山弁を使うと、直されたり
してる。母国語たる国語を古文漢文も含めて学ぶ方が有意義とちゃう?建国記念日やし。
有吉佐和子ではないけれど、紀ノ川っぺりをちょっとドライヴした。なんちゅうタイミングや!
FM802からはB.スプリングスティーン"The River"や、「出来過ぎ謙信やん?」とわけの
わからん感想?も飛び出す。頭ん中は「往く川の・・・」が、日本人に生まれて良かったわ。
「違うけど母語と母国語おんなじや」